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閑話休題:核持ちこみ密約の暴露は持ちこみ公然化の前ふりか

 核持ち込み密約が改めてニュースになっている。一見、過去の日米秘密外交が暴露されるのはとてもいいことのようでもあり、おおよそメディアの論調もそうした文脈で報じている。

 ただ、私としてはどうもこの一連の密約報道にはきな臭いものを感じざるを得ない。確かにこれまでの日米秘密外交が暴露されるのは悪いことではないのだが、数多い「秘密」の中でもとりわけ周知の秘密であった米軍の日本への核搬入が、いまさら話題になっているのはなぜなのだろうか。絶えざる反核運動の成果である、と考えるほどナイーブにはなれない。

 今のところ推測に留まるのだが、一連の密約報道は米国の核搬入を政府が認めていたことを暴くことに主眼があるというよりも、今後日本への米国の核搬入を公然化するための前ふりなのではないか。政府・外務省が密約などないと粘っているのは、公然化のタイミングを図っているにすぎないのではないかとすら思える。

 実際、7月9日に自民党の山崎拓は米軍の核搭載船の日本寄港を容認すべきと発言している。寄港だけは非核三原則の例外とするということだ。これまでは非公然ながら米軍の核搬入のおかけで、日本の平和と繁栄は守られた、冷戦も終わったことだし(米国の公文書館からも出ているし)、それは認めよう。むしろこれからはそれを公然と認めていこうではないか、北朝鮮も核を持っているのだから、という筋書きは、現在の日本の平和運動の水準を見ているとそう無理なく通りそうだ。注視が必要だろう。
by kscykscy | 2009-07-19 02:00
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